09.12月03日 | ||
編集長インタビュー:「美STORY」 「美しさは大きな自己実現」 山本由樹さん | ||
女性ライフスタイル誌「美STORY」(光文社)が好調だ。昨年、女性ファッション誌「STORY」の増刊号として美容をテーマに創刊し、今年の11月号から月刊化。創刊号は10万部を完売し、その後も勢いは衰えない。編集長の山本由樹さんに話を聞いた。 創刊のきっかけは「STORY」での読者調査の結果だった。「ファッションは流行なので来年には使えなくなるが、美容は来年の自分のための投資。5万円の服を買うなら5万円の美容にお金をかける」。主な購読者層である40代女性の多くが、美容に興味とお金を注いでいることが分かった。創刊号では、読者と同年代のモデル、三浦りさ子さん(41)を起用し、彼女のノーメーク姿や美容医療の施術を受ける姿を掲載して話題になった。 一般的に「読者は実年齢より若めのものを読む」というのがライフスタイル誌やファッション誌の定石だ。しかし美容は「10歳年上の人がきれいだったら『どうやったらこんなにきれいでいられるのか』と単純にあこがれてしまう」と山本さん。当初40代女性を主な層に想定していたが、創刊してみると、誌面に掲載されている40代女性に、あこがれを抱いて読む30代女性が多かった。「美容に関しては先輩の知恵が生きる。先輩が大きい顔ができる」と山本さんは分析する。 編集長の山本由樹さん 同誌では、実年齢を感じさせない女性を「美魔女(びまじょ)」と名づけたり、「しみ、しわ、たるみ」を、それぞれの頭文字を合わせて「SST」と呼ぶなどして、美容の世界に新風を吹き込もうとしている。美容医療に注目するのも、その一つだ。「美容医療というと以前はタブー視されがちだった。しかし今はレーザーや注射での施術が主なので敷居はずいぶん低い」と山本さん。編集部員の一人は、実際に目を二重まぶたにし、その感想や様子を同誌のホームページに公開している。「創刊号では三浦りさ子さんも協力してくれた。認識は変わってきていると思う。美容医療を語ることが、タブーではなくなってきている」と山本さんは手応えを感じている。 「40代は下りのエスカレーターを上がっているようなもの。足を止めたら降りるだけ」。競合誌の多くが、化粧を楽しみたいと考える30代前半までを主な購読者層にする。しかし40代は「毎朝『今日も化粧をしなきゃいけない』と思いながらメークする世代」と山本さん。だから「うわべの美しさではなく、本物の美しさを目指したい」と語る。同誌のキャッチコピーである「私は時を恐れない」は、その意気込みの表れだという。山本さんは「美しくなるというのは大きな自己実現。40代になって自分らしく生きようというとき、美容はとても強い武器になる」と40代女性にエールを送る |