09.03月09日 | ||
健康美容食品市場2年ぶり減少 新ヒット商品が反転のカギ | ||
民間調査会社の富士経済(東京都中央区)は6日、特定保健用食品など健康美容食品の市場動向調査を発表した。それによると2008年は前年比0.6%減の1兆8260億円となり、2年ぶりに減少に転じた。 40歳以上を対象とする特定健康診査・特定保険指導が導入されたことで関心が高まったが、運動など生活改善で健康を増進する人が多く「健康食品まで行き着いていない」(富士経済)のが響いた。市場は当面、横ばいが続く見通しで「新たなヒット商品の登場が待たれる」(同)としている。 ≪成分認知度決め手≫ 健康美容食品のうち、特定保健用食品(特保)市場は、1.7%増の3587億円。乳酸菌類やカルシウム、ビタミン、コラーゲンなど認知度の高い成分が販売を伸ばした。一方、生活習慣病予防や老化を防ぐ効果などで注目の「アンチエイジング」市場は1.2%増の5073億円。コエンザイムQ10などの成分がブーム一巡の反動で縮小傾向にあるが、美肌や骨・関節サポートのコラーゲンやグルコミンサンなどが需要を伸ばした。 滋養強壮効果などのある栄養ドリンクなど「小容量ドリンク」は2.2%増の1438億円。肝機能改善を訴求するハウス食品の「ウコンの力」が08年で13.4%増の240億円を売り上げたのが寄与した。半面、栄養バランス食品やビタミンCがそれぞれ5%超の減少となり、健康美容食品全体を押し下げた。ただ、それぞれの健康美容食品市場とも、金額ベースはほぼ横ばい。富士経済は09年の総市場も0.7%減の1兆8129億円と2年連続の縮小を見込んでいる。 ≪「特保」に期待≫ こうしたなか、食品メーカーなど関連各社は同分野での販売拡大を目指して、相次ぎ品ぞろえの拡充を進めている。 市場規模約670億円ながら注目度の高い特定保健用食品のお茶分野は、サントリーの「黒烏龍茶」、花王の「へルシア緑茶」が双璧(そうへき)だが、血糖値の急激な上昇を抑制する効果が認められているお茶をめぐって競合関係にあるヤクルト本社とカルピスは、拡販に向けて月内に商品内容の充実を図る。 ヤクルト本社は6日、血糖値を抑えるお茶「蕃爽麗茶」について1000ミリリットルの紙容器タイプを23日に発売すると発表した。価格は330円。同社は昨年10月に同商品のデザインを一新し2リットル入りのペットボトルを持ち運びやすく改良。さらに紙容器タイプでも大容量タイプをそろえて顧客ニーズの取り込みを狙う。 一方のカルピスも、同じタイプの烏龍茶と緑茶の特定保健用食品「健茶王」のパッケージを一新して23日に発売。包装に特徴を明記することで顧客訴求力を高めた。富士経済は、こうした各社が取り組む商品内容の改良などを通じて特定保健用食品市場が盛り上がれば、「健康美容食品市場は反転に転じる可能性もある」と指摘している。 |