10.08月30日 | ||
摘発エステ女性従業員、平均年齢4年で8歳上昇 | ||
外国人女性によるマッサージやアカスリとうたい、密室で性的サービスを提供する違法エステ。 暴力団の資金源や外国人犯罪の温床とも指摘され、埼玉県警は10年ほど前から毎年数十件の摘発を続ける。しかし、一向にやむ気配がないうえ、店で働く女の平均年齢は4年間で8歳も上がったという。法の網をかいくぐり、営業を続ける店で何が起きているのか。 捜査関係者の間で、今も話題に上る象徴的な事件がある。捜索先は、埼玉県のJR蕨駅近くの雑居ビル3階。4月7日午後9時、私服捜査員約20人がなだれ込んだ。 「売春してないよ!」。派手なドレスを着た女が中国語でまくし立てた。女は、薄暗い個室で客の男性(30)と裸でいた。女が所持していた外国人登録証を確認した捜査員は目を疑った。見た目は30歳代でも通りそうな厚化粧の女の実年齢は、54歳だったのだ。 捜索の10分後、売春を認めた客の証言などから、女は風営法違反ほう助容疑(禁止地域営業)で現行犯逮捕された。しかし、身元を調べると日本人の妻だった。20日間の拘置後、釈放された。起訴猶予だった。 ◆40歳代が最多◆ 同県警生活環境1課によると、摘発された従業員の女の平均年齢は、2005年(63人)の32歳に対し、09年(36人)は40歳。20歳代5人、30歳代12人、40歳代は最多の17人で、50代も2人いた。最年長は52歳だったという。 かつて捜索では、在留資格を確認する際、「必ず『どの学校の学生か』と尋ねたほどだった」(捜査員)。大半は未婚で、留学か就学中と相場が決まっていた。しかし、05年を境に30?40歳代が増え、09年には「日本人の配偶者等」(約63%)と「永住者」(約29%)が全体の9割を超えた。 引き金は、04年12月施行の改正入管難民法だ。留学生が風俗店のホステスとして働いた場合の罰金が、30万円から300万円に引き上げられるなど、不法滞在者や不法就労者を雇う経営者らの厳罰化が進んだ。 しかし、違法エステは消滅しなかった。経営者は、従業員個人の不法滞在容疑で摘発されないよう、若い学生らを敬遠し、就労制限のない日本人配偶者の中年女性を雇い入れるようになったというのだ。 手口も巧妙化している。店舗の賃借や電気・ガス使用などの契約で、経営者名が表に出ないよう日本人に名義を借りるケースや、名義を用意するブローカーの存在も浮上。廃業した店の名義や契約内容ごと引き継ぐ「居抜き」も常態化し、営業の実態が把握しづらくなっているという。 県警は「違法店が入りにくい街に変えることが根絶への近道」と、09年から、JR西川口、大宮両駅周辺を対策重点推進地区に指定し、行政などと連携し、ビルオーナー対象の防犯会議や立ち入り調査の実施など、経営しにくくする対策にも力を入れる。 しかし、記録が残る02年以降、県警は毎年20?86店、従業員ら数十?百数十人を、風営法違反容疑などで摘発してきたが、「どれだけつぶしても、翌年には同じ数だけ現れる状態」(捜査員)。 摘発例が増加する年配の「配偶者」の中には、偽装結婚が疑われるケースもある。しかし、立件は難しく、国外退去は困難だ。摘発後、別の店で雇用されている女も少なくないという |