10.05月29日 | ||
ついにLVMHも! 高級ブランドがホテル業界に続々参入の理由 | ||
近年、ラグジュアリーブランドがホテル業界に参入する動きが加速しています。今年4月には、ついに世界最大のラグジュアリーブランド・グループ、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が5つ星リゾートホテルの経営に本格的に乗り出すと発表しました。また先月27日には、ドバイの超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」にジョルジオ・アルマーニ初のホテルが華々しくオープンしています。 2000年代前半からブルガリ、フェラガモなど有名ブランドがプロデュースするホテルが建設され始めましたが、ここ数年でその数は増加。ヴェルサーチ、クリスチャン・ラクロワ、モスキーノなどの有名ブランドが、続々とブティックホテルをオープンしています。なぜ今、高級ブランドがプロデュースするホテルが増加しているのでしょうか。注目のホテルを紹介しつつ、その背景に迫りました。 これから世界的にホテルを展開していくLVMHは、まず2012年にエジプトとオマーンに2つのリゾートホテルの開業を予定しています。 すでに2006年から、LVMHグループ会長ベルナール・アルノー氏のアルノー・グループが仏高級スキーリゾート・クルシュベルに、仏ボルドーのワイナリー「シュヴァル・ブラン」を冠にしたホテルを試験的にオープン。エジプトとオマーンのホテルはこのブランドに加わる予定です。 オマーンのホテルは32のヴィラを建設予定で、最も狭いヴィラでも500平米の敷地があり、各ヴィラにはプライベートビーチとプールが付きます。エジプトのホテルは、エジプトの南に位置するアスワンにあり、40室のスイートルームからはナイル川を見渡せるそうです。 2つのホテルの建設費は総額1億ドル(約94億円)で、その大部分は提携するオラスコム・ディベロップメント・ホールディングスから融資され、LVMHはホテル運営のみ行います。またホテル管理部門は5人から10人という少人数体制で、同グループが負うリスクは最小限に絞る方針です。 伊ファッションブランド・モスキーノは3月に世界初のホテル「メゾン・モスキーノ」をイタリア・ミラノのモンテ・グラッパ通りにオープンしました。 ホテルの建物は、1840年築造の鉄道の駅を改修したもの。客室は全65室・16タイプで、部屋ごとに異なるデザインになっています。デザインコンセプトは「眠りと夢が手を取り合う空間」で、それぞれおとぎ話をテーマにしたデザイン。アリスや赤ずきん、お菓子の部屋、イブニングドレスをテーマにした部屋など、大人のためのロマンティックな空間が創出されています。 レストランは著名シェフのモレノ・チェドローニ氏のレストラン「Clandestino(クランデスティーノ)」。このほかにバーが有名な「Culti(クルチ)」のスパ、ロビーにはモスキーノのブティックがあり、ベッドカバーから食器までホテルオリジナルグッズが揃います。ファッションに止まらず、ブランドの世界観をトータルで体感できる極上ホテルです伊ファッションブランド・モスキーノは3月に世界初のホテル「メゾン・モスキーノ」をイタリア・ミラノのモンテ・グラッパ通りにオープンしました。 ホテルの建物は、1840年築造の鉄道の駅を改修したもの。客室は全65室・16タイプで、部屋ごとに異なるデザインになっています。デザインコンセプトは「眠りと夢が手を取り合う空間」で、それぞれおとぎ話をテーマにしたデザイン。アリスや赤ずきん、お菓子の部屋、イブニングドレスをテーマにした部屋など、大人のためのロマンティックな空間が創出されています。 レストランは著名シェフのモレノ・チェドローニ氏のレストラン「Clandestino(クランデスティーノ)」。このほかにバーが有名な「Culti(クルチ)」のスパ、ロビーにはモスキーノのブティックがあり、ベッドカバーから食器までホテルオリジナルグッズが揃います。ファッションに止まらず、ブランドの世界観をトータルで体感できる極上ホテルですイタリアのファッションブランド・ミッソーニは、昨年スコットランドのエジンバラに「ホテル・ミッソーニ・エジンバラ」をオープンしました。今年6月にはクウェート、2011年にはケープタウン、その後はブラジルやオマーンにも進出予定です。 エジンバラは世界遺産にも登録されている美しく歴史ある街並みが特長で、ホテルはその中心部の旧市街に位置します。旧市街の景観に馴染む石造りの建物に一歩足を踏み入れれば、そこはミッソーニの世界観で統一された、モダンで洗練されたインテリアの空間。このギャップが、訪れる人を楽しませてくれます。全136室のスタイリッシュな客室のほかに、館内にはイタリアンレストラン、バー、ジム、ビジネスセンターなどがあります。 またイタリアのファッションブランドのヴェルサーチは2000年、世界初のブティックホテル「パラッツォ・ベルサーチ」をオーストラリアのゴールドコーストに総工費約140億円をかけてオープンしました。今年は、設計に5年を費やした上に開業が延期になっていたドバイのホテルが、ついにオープンする予定で、アルマーニ・ホテルの強力なライバルになるとされています。 ファッションブランド、ラグジュアリーブランドのホテル業界進出の背景には、ファッションなど一分野に止まらず、家具から食器・雑貨まで、そのフィールドを生活全般に広げるブランドの増加があります。 ファッションからワインまであらゆる高級ブランドを傘下に収めるLVMHは、ホテル業界への参入を「ラグジュアリー・ホスピタリティ活動の自然な拡張の結果」だとしています。LVMHの場合は服飾雑貨はもちろん、スパからワインまで、ホテル内の全てを同グループの製品・サービスで統一することができます。自社ブランドのトータルイメージを顧客に伝える場として、また商品をディスプレイする場として、ホテルはまさに絶好の空間なのです。 ブランドを最高の形でプレゼンできるというメリットの一方、ホテル業界は浮き沈みが激しいというデメリットもあります。高級ブランドの多くはホテル業界進出に非常に慎重であり、LVMHもホテル部門の従業員の人数は最小限に止め、リスクを低減する方針です。他のブランドも、ホテルの不動産所有は他社で、運営のみを行う、運営は他社に任せてホテルのプロデュースのみを行うなど、リスクを最小限にするために様々な形をとっています。 とは言え、世界的不況から脱した今、高級ブランドの名を冠したホテルは増加の一途を辿ることは間違いありません。そのブランドの世界観をどう表現するかだけではなく、今後は既存の高級ホテルグループとどのように差別化を図っていくかが、ホテル事業の成否を分けることになるでしょう。 |